こんにちは!Shin整骨院の飯島です。
今回は産後の尿漏れについて解説をしていきます。
なかなか人に相談できないけど、実は産後や妊娠中の尿漏れで悩んでいる方は多いのではないでしょうか?
産後の尿漏れの発生率は論文によってバラつきはありますが、30%以上の方が発生しているデータが多く、妊娠中も含めるとそれ以上の方が悩んでいるというデータが多いです。
思ったより多いと思いませんか?
原因としては主に骨盤底筋へのダメージになりますが、発生するパターンはいくつもあります。
しっかりと原因を理解して、適切な対策を取っていけば尿漏れというのは少しずつ改善させていくことができます。
ただ、これだけ発症率が高いのに尿漏れに関する悩みを相談できずにいる人が約70%と、かなりの率になっています。
なかなか相談しにくい症状でもあるため、「他人に知られたくない」という気持ちもありますよね?
こういった背景から尿漏れは機能的な部分だけではなくメンタル面にも影響を与えることがわかっています。
尿漏れがなかなか治らないとQOLという生活の質が低下するだけでなく、産後うつになりやすい傾向にあるなど、間接的な影響もいろいろあります。
中には「そのうち治るでしょ」と楽観的に考えている方もいますが、症状を放置していても早期回復には繋がりません。
なぜかと言いますと、尿漏れの原因である骨盤底筋の強化をしないと根本的な改善にはならないからです。
私も産後の患者さんのお話を聞くと尿漏れで悩んでいる方はかなり多いのですが、しっかりと対策を取っていくことで症状はほとんどなくなってきます。
尿漏れが発生しやすい人の傾向がデータとしてあるので、「そのうち治る」と放置せず、しっかりと対策を取っていくことが重要です。
もし、「尿漏れがあることを知られるのがイヤで相談できない」「尿漏れを気にせず過ごしたい」という方は、原因〜対策まで全て理解できるので、ぜひ最後までチェックしてください。
尿漏れ概要
ではまず、尿漏れの概要について解説していきます。
尿漏れの発生については妊娠中から発生する人もいれば、出産後から発生する人もいます。
発生率について論文や研究データによって約20%〜50%とバラつきがありますが、どちらにしても発生率はかなり高いと捉えていいです。
次に尿漏れのタイプですが、次の3つに分類されます。
- 腹圧性尿失禁 →努力性尿失禁とも言います
- 切迫性尿失禁
- 混合性尿失禁
それぞれ解説していきます。
まず腹圧性尿失禁とは、くしゃみ・咳・運動時など、腹圧が上昇する瞬間に尿が漏れる状態になります。
次に切迫性尿失禁ですが、これは尿意を強く感じたあと、トイレに間に合わないほど急に尿が漏れる状態です。
最後に混合性尿失禁ですが、腹圧性尿失禁と混合性尿失禁の両方の症状が見られる状態です。
割合で見ると
- 腹圧性尿失禁→約70%
- 切迫性尿失禁→約10%
- 混合性尿失禁→約20%
こちらは論文によって割合が変わりますが、大まかにみてこのような比率になります。
このデータから見ると腹圧性が最も高いので、くしゃみや小走りした瞬間など、急な動きで尿漏れが発生する人が圧倒的に多いです。
ちなみに尿漏れは産後に発症するイメージがあると思いますが、実は、妊娠中から尿漏れを発症している方が非常に多く、産後の尿漏れ経験者の約半数ほどは妊娠中から症状があったというデータもあります。
妊娠中に発症する人と産後から発症する人で状況が違うので、それぞれ解説していきます。
妊娠中の発症
まず、妊娠中の尿漏れは8ヶ月前後が最も多いというデータが多いです。これは胎児が急激に成長する時期であることに加え、そのタイミングで羊水が最大量になり、子宮の重量も増加します。
これらの原因で胎盤にかかる重量によって骨盤底筋への負荷が増加することで発症しやすいといえます。
産後から発症
次に、出産後から尿漏れを発症する人は分娩時の影響が大きくなっています。
具体的に影響を与える項目というのははっきり出ていて、論文によって項目はたくさんありますが、ある程度共通点も多いのでその中から特に影響を与えるものを7つピックアップしました。
- 経膣分娩
- 胎児が4キロ以上
- 妊娠時に体重が大幅に増加(これは論文上で具体的な数字はなかったですが、私の経験上、妊娠中に15キロ以上の増えた方が多い印象があります)
- 年齢35歳以上
- 分娩回数が2回以上(複数の出産経験)
- 会陰裂傷
- 子宮口が開いてから分娩されるまでの時間が長い
これら7つの項目は骨盤底筋にダメージを残しやすい要因になるので、該当するものが多いほど尿漏れの発生率が高くなると言えます。
これらの項目に多く該当して、なおかつ尿漏れで悩んでいる方はしっかりと対策を取っていく必要があります。
ただ、ここで問題なのは、これだけ尿漏れ発生率が高くて悩んでいる人が多いのに、予防や改善の指導体制がほとんどできていないことです。
理想としては、妊娠6ヶ月になる前に予防エクササイズをスタートしたいところですが、指導している医療機関はほとんどないのが現状です。
あるとしたら助産師さんなどが「エクササイズは重要ですよ」と言ってくれるくらいで、プログラムとして作ってあるわけではありません。
なので、出産後から対策を取っていく方が多いです。
対策① 施術
尿漏れ対策として浮かぶものは治療院で施術を受けることと、エクササイズだと思います。
これに関してはまさにその通りで、施術・エクササイズはどちらも有効です。
当院にも尿漏れで悩む方が多くいらっしゃいますが、最初の施術で半分以上の方は尿漏れがなくなったり、頻度が大幅に減ったりしています。
理由としては、骨盤の角度と周辺の筋肉の状態です。
出産後の骨盤の開きであったり、角度がズレていたりすると骨盤底筋を使いにくい状態になります。
これらを解消してあげると、わりとすぐに効果が出ます。
ただ、骨盤底筋自体の損傷が大きかったり、神経へのダメージがあると症状は長引きやすいです。
その場合は骨盤底筋をうまく使えるようにするための訓練を継続して行っていく必要があります。
対策② エクササイズ
どんなエクササイズをするのかと言いますと、骨盤底筋を連動させて動かすエクササイズになります。
この筋肉は単体で動かすのは難しい筋肉になっているので、お尻や体幹を連動させて鍛えていくメニューがオススメです。
理想としては妊娠6ヶ月になる前くらいからスタートしていきたいですが、出産後からでも大丈夫です。
いつ開始してもいいエクササイズになってるので、妊娠初期であれば尿漏れ予防、出産後であれば尿漏れの改善目的という感じで行ってみましょう。
基本的に手遅れということはないですし、いま尿漏れがそこまでひどくなくても、症状が少しでもあれば産後15年以内の尿漏れ発生率が高いデータもあります。
50代以降になったときの尿漏れリスクが高くなることを避けるためにも、今からエクササイズを継続して行った方がいいです。
では、オススメのエクササイズを1つ解説していきます。
ヒップリフトというメニューで、最初の一歩目として取り入れるエクササイズとしては最適です。
こちらは骨盤底筋に加えてお尻の筋肉や内ももを一緒に鍛えることができます。
やり方は
- 仰向けに寝て膝でタオルを挟む
- 肩・腰・膝が一直線になるまで腰を上げる
- 2秒ほどキープしてからお尻をおろす
腰痛が出た場合はお尻の高さは半分くらいでOKです。
こちらのエクササイズは知っている方も多いと思いますが、タオルを挟むやり方はあまり見たことがないと思います。
タオルを挟むことで出産後とくに弱くなりがちな内転筋も同時に鍛えることができるので、ここを大事にしてください。
お尻を上げることに意識がいってしまい、タオルの挟み込みが弱まると負荷が逃げてしまうので、タオルの引き締めを最優先に意識してみましょう。
しっかりと骨盤底筋を鍛えて急な動きで尿漏れを起こさないように頑張ってみてください!
他にもたくさんオススメのエクササイズがあるので、今後も詳しく解説していきます。
まとめ
尿漏れの原因対策まで解説してきましたが、ざっくりまとめると
- 尿漏れ発生率は50%近い(論文によってバラつきあり)
- 妊娠8ヶ月前後も発生しやすい時期になる
- 発生原因は骨盤底筋へのダメージ
- タイプとしては腹圧性尿失禁といって「くしゃみ」「咳」など、急に腹圧が上昇するときに発生するタイプが全体の70%以上を占めていて最も多い
- 尿漏れは胎児が4キロ以上であったり、分娩回数が多い、分娩時間が長いといったような、骨盤底筋にダメージを負いやすい要素が多いほど発生率が高くなる
- 予防・改善の指導体制ができていないので、自分でエクササイズをしたり治療院に通院する必要がある
このようになります。
正しく取り組めば尿漏れはほとんど改善していきますので、ぜひ参考にしてみてください!